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【無料RPA】Power Automate Desktop 活用事例~ボタン「ク...

    2025/11/20

    【無料RPA】Power Automate Desktop 活用事例~ボタン「クリック」って意外と難しい?~ 

    本シリーズでは、Power Automate Desktop(以下、PAD)を活用して業務の効率化や自動化を進めるためのヒントをご紹介しています。

    今回は、Webブラウザ上のボタン操作に関する「クリック方法の違い」について取り上げます。

    同じ「クリック」といっても、PADでは複数の手段があります。

    ブラウザ自動化アクションを使う方法、キー入力で擬似的に押す方法、マウス操作を再現する方法──。

    一見どれも同じ結果に見えますが、実際には「ブラウザがどう認識するか」に大きな違いがありました。

    本コラムでは、それぞれのクリック方法の特徴と挙動の違いを、実際の事例を交えて解説します。

     

    ※注意事項

    • 今回の検証・実験は Microsoft Edge を使用して行っています。

    • 他のブラウザ(Chrome、Firefox 等)では同一の挙動になる保証はありません。 ブラウザ固有の制御方法やイベント処理の違いにより、結果が変わる可能性があります。

     

    ※Power Automate Desktop (PAD)とは?
    MicrosoftがWindows11ユーザー向けに無償で提供しているPC自動化ツールです。Windows11には最初からインストールされています。
    プログラミングなしでPCの操作を自動化できます。
    本コラムでは当ツールの活用方法をご紹介しています。

    1.きっかけ

    とある業務で、「Webページ上の表データをクリップボードにコピーするボタン」を自動クリックしたいという場面がありました。

     

    手作業でクリックした場合は、
    「コピーしました」という通知が表示され、実際に貼り付け操作をするとデータが取得できます。

     

    このボタンをコピーしてExcelに張り付ける作業をPADで自動化しようとしたところ、
    思うように動かない部分があったので、やり方を変えながら想定通りに動く方法を模索しました。

    最終的に、下記3つの方法を試したところ、期待通りの結果を得られました。

    方法

    内容

    ① ブラウザ自動化

    「Webページ上のボタンをクリック」アクションを使用

    ② キー入力

    Tabキーでボタンにフォーカス → Spaceキーで押下

    ③ マウスクリック

    座標指定でボタン上にカーソルを移動し、クリック送信

    同じようなことで悩んでいる方がいるかもしれないと思い、うまくいく方法とうまくいかない方法でボタンクリック時の動きを比較・調査してみました。

     

    2.実験結果

    結果をまとめると、次のような違いが見られました。

    方法

    トースト通知

    クリップボードコピー結果

    ① ブラウザ自動化

    表示された

    コピーされず

    ② キー入力

    表示された

    コピーされず

    ③ マウスクリック

    表示された

    コピー成功

    すべての方法で「クリックイベント」自体は正常に発火し、ブラウザ上でも通知が表示されました。
    しかし、実際にクリップボードへ値が入ったのは③のマウスクリックだけでした。
    この違いは、ブラウザが「クリックの発生源」をどのように判断しているかによって生じるようです。

    というのも、多くのブラウザではセキュリティ上の理由から「スクリプトや自動化による操作」ではクリップボードへのアクセスを制限しています。

    そのため、「信頼されたユーザー操作(isTrusted = true)」からのイベントでないと動作しない仕様になっているのです。

    つまり、同じ「クリックイベント」が起きても、

    • ①・②は「自動操作」または「シミュレートされた入力」として扱われる

    • ③は「ユーザーが実際にマウスでクリックした」と同等に扱われる

    ため、③のみがクリップボード操作を許可されたと考えられます。

     

     

    3.各クリック方法の特徴

    ① ブラウザ自動化アクション

     

    PAD標準の「Webページ上のボタンをクリック」アクションです。

    UI要素を特定してクリックを自動実行しますが、ブラウザ側ではスクリプトや自動化ツールからの操作として認識されます。

    セキュリティ上の理由から、ブラウザはこのようなクリックに対してクリップボード操作をブロックする傾向があります。

    つまり、「クリックイベントは起きるが、信頼できる操作とはみなされない」という状態です。

    ② キー入力(Tab+Space)

    実際のキーボード入力をエミュレートしてクリックを再現する方法です。

    ユーザー操作に近いように思えますが、PADが内部的に送る信号は仮想入力(シミュレートされたキーイベント)であり、

    ブラウザはこれも「自動化された入力」と判断します。

    結果として①と同様に、見た目はクリックされてもクリップボード操作が無効化されました。

    ③ マウスクリック(座標クリック) 

     PADがマウスカーソルを実際に移動させ、ボタン位置でクリックする方法です。

    これはOSレベルで「ユーザーの物理操作」とほぼ同等に扱われるため、

    ブラウザも“信頼されたクリック”としてクリップボード操作を許可します。

    ただし、ウィンドウの位置や解像度が変わると座標がずれるため、安定性には注意が必要です。

     

    4.まとめ

    今回の検証で分かったのは、

    「クリックが成功したように見えても、ブラウザが“ユーザー操作”と認めるかどうかで結果が変わる」という点です。

    比較項目

    ブラウザ自動化

    キー入力

    マウスクリック

    安定性

    高い

    中程度

    低い(座標依存)

    再現性

    高い

    高い

    環境依存

    ユーザー操作判定

    ×

    ×

    クリップボード操作

    制限あり

    制限あり

    許可される

     

    PADでのWebクリックは、「どのようにブラウザが認識するか」によって結果が大きく異なります。

    • clickイベントは全方式で発火しても、結果(クリップボード操作など)は異なる

    • 実際に値がコピーされたのは、ユーザー操作に最も近い③マウスクリックのみ

    • 自動化の安定性を重視するなら①、ユーザー操作再現が必要なら③を選ぶのが基本

    • ③を使う場合は、画面サイズ固定・最大化・待機時間設定など、環境依存を減らす工夫が必要

    Web自動化では「動作したように見えるが、結果が違う」ことが起こりやすいため、

    “見た目のクリック”ではなく、“動作の仕組み”を理解して選ぶことが重要です。

    「ユーザー操作をどこまで正確に再現できるか」を考えることで、より安定したフローを作ることができます。

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    投稿者

    白川

    Power Automateを中心に、業務自動化や業務改善の支援を行っています。 セミナー講師として、自動化の考え方や設計のポイントをわかりやすくお伝えしています。