コラム - お役立ち情報

2023.08.22

【無料RPA】Power Automate Desktop(PAD)活用事例 面倒な複数箇所への転記作業はまとめて自動化!

本シリーズでは、Power Automate Desktop※を活用して業務効率化に役立てる方法をご紹介しています。
今回は、データの読み込み方法と書き込み方法を2回に分けて解説していきます。
これらをマスターすると、目視・手作業で行っていたデータの転記作業を自動化できます。

※ Power Automate Desktop (PAD)とは?
MicrosoftがWindows10ユーザー向けに無償で提供しているPC自動化ツールです。Windows11には最初からインストールされています。
プログラミングなしでPCの操作を自動化できます。
本コラムでは当ツールの活用方法をご紹介しています。
https://powerautomate.microsoft.com/ja-jp/desktop/

例えばこんなことができるように!

一つのExcelから複数の媒体に入力したり、複数の媒体から一つのファイルに情報を集約したりということがボタン一つでできるようになります。
面倒な作業に頭を悩ませている方は、この機会に業務の自動化にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


目次

1.データを読み込む

2.まとめ

1.データを読み込む

データの転記作業は、データを読み込むパートと書き込むパートに分かれています。データの読込方法は、読込元の形式次第で変わります。
今回は、CSVファイル・Excelファイル・テキストファイルの読込方を解説していきます。
 

(1)CSVファイル

CSVファイルからデータを読み込むには、「ファイル」アクションの「CSVファイルから読み取る」を使用します。

このアクションでは、指定したCSVファイルを読込、データテーブルとして扱うことが出来ます。
読み込む 際の「エンコード」を間違えてしまうと文字化けしてしまうため注意が必要です。
では、実際にCSVファイルからデータを読込んでみます。

今回読み込むデータは、郵便局のHPからダウンロードできる全国の郵便番号がまとめられたCSVファイルです。
パラメータは以下のように設定します。

●ファイルパス:CSVファイルが置いてあるパス
●エンコード:UTF-8

エンコードが不明な場合は『メモ帳』アプリでCSVファイルを開いてみてください。ウィンドウの右下に表示されているのがエンコードです。

●フィールドのトリミング:チェック

データの先頭と末尾にある余計な空白を取り除いてくれます。

●最初の行に列名が含まれています:チェック

1行目をデータテーブルのヘッダーとして使用してくれます。

●列区切り記号:定義済み

定義済みの場合は、列区切り記号を{システム既定値、カンマ、セミコロン、タブ}から選択できます。
カスタムを選択すると、任意の区切り記号を設定できます。
列の幅を固定するに設定すると、列内の文字数を固定値に設定できます。

●区切り記号:システム既定値

読込んだデータをシステム既定値(デフォルトではコンマ)で区切ります。
列区切り記号を「定義済み」に設定している場合に表示されます。
列区切り記号を「カスタム」に設定していると「カスタム列区切り記号」に任意の文字列を指定できます。
同じく、「列の幅を固定にする」に設定していると「列の幅を固定にする」に文字列の長さを指定できます。

 
実行すると以下のようにDatatable型の変数が取得できます。

 

(2)Excelファイル

Excelからデータを読み込むには、「Excel」アクションの「Excelを起動する」と「Excelワークシートから読み取る」を使います。


 
パラメータは以下のように設定します。
「Excelの起動」

●Excelの起動:次のドキュメントを開く

新規で開くか既存のファイルを開くか選択できます。

●ドキュメントパス:Excelファイルが置いてあるパス
●インスタンスを表示する:チェック(任意)

開いたExcelファイルを画面に表示します。
特に理由がなければ表示しないほうが処理は早くなります。

●読み取り専用として開く:チェックなし

チェックすると不意に値を書き換えてしまうことを防げます。
逆に、開いたExcelファイルを編集したい場合はチェックを外します。

詳細:今回は変更しません

「Excelワークシートから読み取る」

●Excelインスタンス:%ExcelInstance%

「Excelの起動」で生成した変数を選択します。

●取得:ワークシートに含まれる使用可能な全ての値

セルや範囲を指定して値を取得することもできます。
データの読み込み時は全ての値を取得することが多いです。

詳細:今回は変更しません

 
読み込んだデータはCSVファイルの時と同様にDatatable型の変数になります。
また、結合されたセルは解除されて読込まれます。その際、入力されていた値は結合されていた範囲の左上端にあるものとして扱われます。
 
コチラも例を見てみましょう。
読み込むデータは、政府統計のポータルサイト『e-Stat(https://www.e-stat.go.jp/)』からダウンロードできる国内総生産の統計資料です。

アクションは下図のように配置します。

実行すると以下のようにDatatable型の変数が取得できます。

 

(3)テキストファイル

テキストファイルから読み込むには、「ファイル」アクションのファイルからテキストを読み込む」を使います。

パラメータは以下のように設定します。

●ファイルパス:テキストファイルが置いてあるパス
●内容の保存方法:リスト(それぞれがリスト アイテム)
読込んだテキストを1つの文字列として扱うか、改行毎にリストに格納するか選択できます。
テキストファイルのデータを読み込む際は、リストを選択するようにしましょう。
●エンコード:UTF-8

 
それでは、実際に読込んでみます。
読み込むデータは、国内総生産のエクセルファイルをテキスト形式で保存したものです。

これを実行すると、以下のようなリストを取得できます。

CSVやExcelと違い、リストテキスト型の変数で取得されました。
このままではデータとして扱いにくいため、さらに手を加えていきます。
何をするのかというと、リストの各行を文字列からリストに変換し、データテーブルを作成します。
アクションは下図のように配置します。

ポイントは、「テキストの分割」アクションで文字列を1つ1つのデータに分割している部分です。
今回は、Excelから作成したテキストファイルでしたので、それぞれのデータは「Tab文字(Tabキーを押したときの文字)」で区切られていました。
そのため、「Tab」文字を表す「\t」で各行の文字列をさらに分解しています。
「カンマ」で区切られたデータの場合は、テキストを分解する区切り文字を「,」にします。
実行するとExcelを読込んだ時と同じDatatable型の変数が取得できます。

テキストの形式によって読込方法が異なるため、CSVやExcelに比べると難易度は高めです。
どうしてもテキストファイルからデータを読込みたい場合は、Excelに変換するなど、PADで扱いやすくしてから読み込むことをお勧めします。

2.まとめ

ここまで、データを読み込む方法を解説してきました。
読込んだデータは全てDatatable型の変数になっていました。
因みに、Webからデータを取得する場合はデータテーブルかスプレッドシートから選択できます。
取得した後にPADで加工するならやはりデータテーブルにすることをお勧めします。
次回の書き込み方法を解説するパートでは、データテーブルからExcelやブラウザに書き込む方法をご紹介していきます。
データテーブルとは?という方は、第6回第7回 も見てみてください。

 記事を書いた人
記事を書いた男性アイコン
 株式会社ワイ・ビー・シー
 営業部 開発チーム
 白川
 



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