コラム - お役立ち情報

2022.07.26

クラウドって何が良いの?

クラウドは意外と身近に・・・

今や当たり前、となりつつある「クラウド コンピューティング」。
単にスマートフォンやPCのファイルを預ける「クラウド ストレージ」のようなサービスもクラウドですし、クラウド上で稼働している既製品のサービス、Microsoft 365やSalesForce、Slack、Zoomといったものもクラウドを利用していると言えます。
スマートフォンで動作しているアプリも、その多くは裏方でクラウド上のサービスに支えられています。
これらはサービスを選んだ時点でクラウドは暗黙で使用されているので、無意識に使っているクラウドと言えます。

サーバ設置場所の分類

自社で独自の情報システムを立ち上げるようなケースでは、そのシステムの中核を担うサーバをどこに置くのかは未だに100%の正解はありません。
 

分類方法

1. オンプレミス

自社内にコンピュータ(=サーバ マシン)を設置してシステムを稼働させる

2. プライベート・クラウド

クラウド業者の設備内に自社の専用エリアを独占的に借り、オンプレミス同様にシステムを構築、稼働させる
「棚借り」「ラック借り」とも言われるようにマシンの置き場所だけを借りているイメージ

3.パブリック・クラウド

他社利用者が混在していても仮想化技術で独占利用しているように扱えるエリアを設けて、クラウド業者のサービスメニューを組み合わせて
システムを構築、稼働させる
クラウドの独自サービスをどれだけ使いこなすか、によってクラウドのメリットに差が出てくる

という3種に分けて考えてみたいと思います。
このコラムでは自社システムの置き方で、上記1~3の選択肢で悩まれている方に考え方のヒントを提供しようと思います。

それぞれの特徴

着目点毎に、3方式の特徴をまとめてみます。
※状況により特徴が良くも悪くもなり得るので、一般的に優位と思われる特徴にのみを付けてあります。

1.オンプレミス 2.プライベート・クラウド 3.パブリック・クラウド
費用
(固定費)
リースでなければ最初にマシン調達の全費用がかかる 一般に月単位の課金になるが契約期間の縛りが発生するので実質固定費
リースのような費用発生パターンになる
時間単位の課金が標準だが年単位などの前払いを利用すると割安になることもあり、その場合は固定費に近い
競争が働いているので値下げが期待できるのと、モデル変更を行えばコスパの良いモデルへ途中変更が可能
常時フル稼働するような使い方では割高になることもある
費用
(変動費)
電力等
ライセンス費用やドメイン名使用料等はほぼ固定だが周期的に発生するので変動費とする
マシンの費用はサイズに応じた固定だが通信費用が従量制となる
エネルギー費はマシン費用に含まれることが多い
マシンやストレージのサイズが容易に変更できるのでほぼ全てが従量制と考えられる
特にストレージを除くマシンは未使用時に停止すると費用がかからない
使用率が低い状態や変動が著しいために余力が大きい状態で使用せざるをえないケースでは割高になることもある
データの場所 自社内(マシン設置場所) クラウド上
専用ネットワークを築くケースもあるが多くは仮想ネットワーク
災害などの際に自社と同時に被災しないように地理的選択する
クラウド上
他の利用者とは仮想ネットワークで分離される
設置場所詳細は非公開の業者が多く、個人情報管理上注意が必要
地理的に離れた複数箇所に分散した冗長構成とすることができ災害対策としては有利
利用者との通信 社内LAN、自社WAN
データをシステム外とインポート・エクスポートする要件次第では自社内にシステムを置くことが必要になる
インターネットが前提
閉鎖したアプリケーションとして使うならクラウドと専用線を引くか、VPNで自社LANの延長として扱う
追加費用の可能性
インターネットが前提
専用線、VPNも可能だがhttpsやsshのような暗号化通信を公衆インターネットで利用するのが一般的
自社ユーザにとってはLANよりは遅くなる可能性があるが社外からのアクセスは容易になる
システムへの
侵入保護
サーバセキュリティは自前で構成する必要があるが、自社LANは外部の驚異に対してある程度保護環境と考えられる
社外にサービスするための厳重な保護は別途必要
自前でネットワーク、サーバのセキュリティ設計と実装、運用が必要 サービス化されたメニューで侵入対策手段がある程度実装可能だがきちんとした設計の上で利用する必要はある
キャパシティ計画 マシンの寿命(3~5年)まで交換できない前提で必要となる最大能力を見積って用意する
過剰、不足が発生する可能性がある
業者によっては途中交換可能なケースもあるが、オンプレミスに準ずると考えた方がいい スケールアップで済む(マシンのCPUコア数、メモリ量)範囲の増減は柔軟に可能なのでスモールスタートし、不足してから増強することができる
スケールアウト(マシン台数増)も経費の範疇で可能
データの
バックアップ
自前でバックアップコピーを取得する手順を計画、保存メディアを用意、ローテーションを計画
災害に備えオフサイトコピーも考慮
保存メディアは消耗品費用として計画
オンプレミスに準ずる
テープのようなオフラインメディアは使えないケース多し
メニュー化されたサービスでバックアップ機能が用意されているので頻度や世代数を選ぶだけで実現できる
バックアップサイズで従量課金されるがバックアップ用のストレージは安価設定が多い
コピーを離れたサイトに置くことで災害時の消失対策になる
故障対策 自前でスペア機を用意しておくか、業者の保証交換に依存
復旧に半日~数日を要する
ストレージ故障は冗長化してあれば無停止交換可能
契約次第だがクラウド内にスペア機の在庫があるケース多し 互換性あるマシンが大量稼働しているので仮想マシンを別の物理マシンに移動して再起動でき、数分~10数分で自動復旧する
ストレージは標準で3重化され、それぞれが更に冗長化されていてサイレント修復される
地理的に離れたサイトに冗長コピーする機能もある
災害対策 最低限データロスしないようにコピーを遠隔地に定期的に移送する手順を定めておく
運用継続が必要なら環境をクローンして支社で運用しておく等の設計が必要
クラウド自体、耐災害性が高いがクラウドのセンターが地理的に離れたサイト間でデータコピーを支援していれば耐災害データコピーが実現できる メニュー化されたサービスでデータの多重コピーを遠隔サイトに同期する機能を持つので別途コピー実施する手間なし
仮想マシンをサイトにまたがって多重化することもできるのでノンストップ化が可能
設備寿命 だいたいハードウェア的に5年が寿命と考えられている
先端技術としての性能は3年程度
マシン寿命の切替タイミングでO/Sやミドルウェアを最新版に入れ替えるのが常套手段
マシンスペックを指名して契約するのでオンプレミスに準ずる マシンはメニューからサイズ/モデルを選択して再起動するだけで物理マシン間を移動できるので、互換性ある内は寿命に影響されない
寧ろO/S、ミドルウェアのバージョンアップが必要になったときマシン再構築が必要になる
これもクラウドのサービス化されたDBや、サーバレスAPのような技術を採用すればバージョンアップは不要になる
運用監視 システムの死活監視は自前で構築するか監視用のパッケージを購入して構成する
監視アクション要員は人的に手当する
死活監視機能はクラウドが提供している
監視アクション要員は契約すればクラウド側で典型的操作は行ってもらえる(再起動する、Mail/Telで通知する等)
死活監視機能はクラウドが提供している
大抵のリソースはダウンしたら再起動、物理ホストを替えて再起動程度を自動的に行ってくれる
死活以外にも、ビジーだったりストレージ不足等の監視と通知をメニュー化していて監視用パッケージ製品を導入せずともある程度は運用可能
稼働開始までの
時間と手間
セキュリティ考慮した設置場所、電源、通信設備を設計、固定資産や購入計画と承認を経て導入
イネーブラーの経験/技能のあるエンジニアが必要
数ヶ月から1年以上を要する
自社設備への投資は無く、固定資産が発生しないが多年契約になるのでそれなりの承認ステップは必要
イネーブラーエンジニアは必要
数ヶ月程度
いつでも引上げ可能な設備になるのでランニングコストを経費として承認得られればスタート可能
サイズの自由度が高いのでスモールスタートは承認得られやすい
また実証実験PoC用の環境は非常に容易に作成、廃棄できる
クラウド構築に長けたイネーブラーが必要

 

まとめ

クラウドが素晴らしいメリットを備えているように見えますが、要らない機能を備えていても宝の持ち腐れなので、計画されているシステムが重視する特性、どうでもいい特性を最初にはっきりさせましょう。

どんなケースにも万能で最善、という構成はありません。雑に言えば、
■オンプレミス

小規模、社内使用のみ、費用を予算で固定化

■プライベート・クラウド

オンプレミスで稼働していたシステムを社内に置けなくなり、丸ごとクラウドに引っ越し

■パブリック・クラウド

社外からの利用がある、バックアップ・セキュリティ・監視をしっかり行う、初年度費用を抑えたい、近未来の利用度合い/データ規模の予測が難しい

という特性がある用途の候補として検討するのが良いでしょう。

決裁権を持っている人に「どれを重視しますか?」などと聞きに行っても「全部重要だ!(だが予算はない!)」と返されるのがオチなので、「災害時に1時間で復旧する機能は¥○○万円/月で用意できますが要りますか?」というようにコスパを数字化して企画するのがコツです。

パブリック・クラウドを採用しても、構成次第ではオンプレミスのように構築してしまうこともできるので、クラウドとしてのメリットを享受するにはクラウドの強みを知りクラウド独自サービスを使いこなす設計が必要です。そうすれば構築や運用にかかるコンピュータコスト、人件費を含めたトータル費用が、同等なサービスをオンプレミスで実装した場合よりも安く、早期に手に入ります。

そのシステムに求める、重視する特性を決めきれない、ということもあるかと思いますが、経験あるSIer、インテグレータならインタビューを通じて要件の明確化から推奨する構成の企画までお手伝いできます。
ご相談ください。ご相談はコチラ⇒https://www.ybco.co.jp/contact/